智恩寺の本尊像で獅子に乗る文殊菩薩を中心に、獅子を曳く優でん王と、文殊を象徴する経箱を捧げ持つ善財童子の、三尊形式であらわせられています。
この姿は文殊がインドから中国へ旅したという姿をイメージしています。衣に牡丹唐草、雷文繋、鳳凰丸文、蓮華唐草などの細かい盛り上げ彩色の文様を施していることや、文殊菩薩の高く結い上げた宝髻、張りと柔軟さを感じさせる肉身の表現などに鎌倉後期の特色が現れています。
両肩を覆う衣をまとい、如意を持つ文殊の姿は、密教の文殊菩薩と異なるもので、禅宗とともにもたらされた新様と考えられます。